考え方 / 現場で出合って、覚えておきたい言葉
実践知(じっせんち)
出合った日: 2026年10月24日(『魔法の世紀』の「メタな視点」から、現場と経営を包む言葉を探して)
Practical Wisdom (Phronesis) 読み: じっせんち ・和名: フロネシス具体的な場面ごとに、全体にとって何が善いかを見きわめ、判断して行動に移す知恵。
解説
実践知は、古代ギリシアの哲学者アリストテレスが『ニコマコス倫理学』の第6巻で論じたフロネシスにあたる。日本語では「思慮」「賢慮」などと訳される。アリストテレスは、フロネシスを知性の徳の1つに数えた。徳が目指す先を正しく定め、フロネシスがそこへ至る道を見つける。一般的な規則を覚えるだけでは身につかず、経験を重ねて育つ知である。
経営学者の野中郁次郎さんは、2006年ごろから、このフロネシスを経営の言葉として使ってきた。野中さんの説明では、個別の場面で全体の善のために最善の振る舞い方を見つけ、決めて動く力である。2011年には、竹内弘高さんとHarvard Business Reviewに「The Big Idea: The Wise Leader」を書いた。2020年の『ワイズカンパニー』では、暗黙知と形式知に加えて、実践知が欠かせないと説いた。
この用語集では、仕事の2つの場を行き来する知として読む。エンジニアとして手を動かす現場と、管理職として判断する経営である。一人がその2つを往復し、往復そのものも一段高いところから見て、次の一手を決める。落合陽一さんが『魔法の世紀』で技術と芸術を包むメタな視点を求めたように、ここでは現場と経営を包む知の名前として、この言葉を使う。
関連する言葉
出典
- https://plato.stanford.edu/entries/aristotle-ethics/ (Stanford Encyclopedia of Philosophy「Aristotle's Ethics」)
- https://ja.wikipedia.org/wiki/フロネシス (Wikipedia「フロネシス」)
- https://hbr.org/2011/05/the-big-idea-the-wise-leader (Harvard Business Review「The Big Idea: The Wise Leader」2011年5月号)
- 野中郁次郎・竹内弘高:『ワイズカンパニー』(東洋経済新報社, 2020)
- 落合陽一:『魔法の世紀』(PLANETS, 2015)まえがき